X JAPANが10月10日(日本時間11日)、米ニューヨークにあるライブハウス「ローズランド・バールーム」で約2万人を動員した初の北米ツアーを打ち上げた。約2時間で新曲「Born To Be Free」、「紅」の英語詞版など11曲を披露。リーダーのYOSHIKIが「来てくれてありがとう。みんなのことを愛しているよ。ロックな世界を作ろう!」と英語で呼びかけると、集まった約4000人の客が拳をあげて熱狂。世界進出会見を開いた「ロックフェラーセンター」と同じニューヨークの地。約18年の時を経て、無敵の“ジャパニーズ・ロックスター”が誕生した。
9月25日に幕開けした北米ツアー。国内では200人以上のスタッフがステージに携わるが、今ツアーはわずか39人のスタッフで運営。メンバー自ら荷物を運ぶなどし、ロサンゼルス、シカゴなど7ヵ所7公演を16日間で駆け抜けた。一公演ずつ思いを伝えようとリハーサルでは熱いミーティングを重ね深めた絆。ライブでは一音、一音自らの生きざまを込めるような演奏でオーディエンスを圧倒した。
「FINALLY IN THE U.S. X JAPAN」と掲げたツアー最終日。マドンナ、ファーギー、JAY-Zなど、米の大物アーティストもライブを行なったステージ後方に真っ赤な「X」の文字が点滅し、新曲「Jade」でステージは幕を開けた。狂気に満ちた勢いでドラムを叩くYOSHIKIのパフォーマンスに会場が大きく大きく揺れた。ギターをバイオリンに持ち替えたSUGIZOは、切ない音色で聴衆を魅了。途中、米国国歌を演奏すると客らは驚き、歓声をあげていた。
またこの日、45歳の誕生日を迎えたTOSHIのため、YOSHIKIが100ポンド(約45キロ)の巨大ケーキをステージに運び、観客全員で「ハッピーバースデー」を歌うサプライズも。ファンにバラの花束を贈られたTOSHIは「祝ってくれてありがとう。最高の夜にしよう」とフロアを見つめた。後半「Xジャンプ」でヒートアップした「X」では、興奮したYOSHIKIがフロアに飛び込み、客らの興奮も最高潮に。YOSHIKIは「ニューヨークに来られて最高に幸せ!」と寝転がりながら絶叫していた。
アンコールでYOSHIKIは「4歳の時、TOSHIと幼稚園で出会って、小学校になって話したんだよ。ロックスターになろうって。いつかアメリカに来ようって。みんなも知っている通りHIDE(1998年に死去)のことがあって…。今夜は本当にHIDEも一緒にいると思う」と英語で語り涙を見せた。TOSHIがYOSHIKIに歩み寄り肩を抱き寄せると、YOSHIKIは「長い時間がかかったけれど、自分自身を信じていれば夢は叶うんだね」と声を震わせた。
◆初めてのニューヨーク公演 100以上のメディアが取材
X JAPANは8月、シカゴで行なわれた野外フェス<ロラパルーザ>でライブデビュー。現地紙「シカゴサンタイムズ」「ロサンゼルスタイムズ」、報道番組「ABCニュース」など40以上のメディアに取り上げられたことで知名度が上昇。初のニューヨーク公演も現地紙のニューヨークポストで「日本の偉大なアーティストYOSHIKIが、ニューヨークのボノになろうとしている」、「USAトゥディ」では「X JAPANは、アメリカに嵐を呼ぶ」など高く評価された。ニューヨーク公演は100以上のメディアが取材している。
◆行列の先頭は3日待ち、YOSHIKIからプレゼントも
北米ツアー最終公演。会場には座席がなく、先着順で入場できるため公演を観ようと3日前から客が列を作った。先頭は公演3日前、メキシコから訪れた親子。長く列を作っているファンがいることを知ったYOSHIKIは、ファンのためピザ200枚をプレゼントした。
◆HIDEの映像使用は叶わず
ツアーで予定していたHIDEの映像使用は、遺族の意向で叶わなかったが、舞台横にはHIDE人形が置かれ、ステージを見つめ続けた。「Art of Life」で魅せたSUGIZOの甘美なバイオリンと、鍵盤をなぞるようなYOSHIKIのピアノの掛け合いは息を飲むほど。2009年5月に正式加入したSUGIZOが過去、「1990年代の、Xをやり直すのであれば、新しいメンバーは必要ない。未来へ向かうバンドとして、親しかったHIDEさんの遺志を継げるギタリストは、自分しかいないと思った」と話した通り、SUGIZO加入後、X JAPANの世界が大きく広がったことを感じさせるステージだった。
<X JAPAN 2010 NORTH AMERICAN TOUR 2010年10月10日 New York Roseland Ballroom>
1.JADE
2.Rusty Nail
3.Silent Jealousy
4.Drain
5.Violin Solo
6.Piano Solo
7.紅
8.Born to be free
9.Drum Solo
10.I.V.
11.X
encore
12.Endless Rain
13.Art of Life
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